2020/01/20
スズキ アドレスV50にお乗りのお客様よりの電話。
走行中にメーター内にある「FI」のランプが点滅してエンジンが止まってしまったとのこと。
エンジン再始動はできるがすぐにエンストしてしまうとのことで、JAFを呼んで当店まで 搬入していただきました。
お預かりして点検してみますと確かにエンジンのかかりが悪く、かかってもすぐにエンストしてしまいます。
またメーター内の「FI」のランプはずっと点滅しているので、どこかしらシステムに故障があるのでしょう。
自己診断機能により故障コードを読みだしてみますと、「エンジン温度センサー」の故障が原因と分かりました。
「エンジン温度センサー」は外装などを取り外さなくても比較的確認しやすい場所にあるので、 まず抵抗値の測定や断線がないか
外して確認してみることにしました。
「エンジン温度センサー」の配線が一本きれいに(?)断線しています。
これではコンピューター(ECU)からの信号が帰らないのでエラーが出ることになります。
たぶん手前に写っています配線の白いカプラーが走行中、「エンジン温度センサー」の配線に触り、 配線の破断を引き起こしたものと
思われます。
あと数日でスズキが年末休暇に入るところで、その前に部品を調達したかったので急いで 注文しましたが、なんとスズキに在庫が無い状態。
スズキの部品に問い合わせたところ、「現在の予定では入荷は来年の2月です・・・」。
お客様は毎日通学で使われているし、必要なのは部品一つだけ。
調べてみたらこのセンサー、レッツやアドレスと共通の部品なので今回に限り、 お店にある展示車から外した部品を取り付けて
修理完了としました。 また断線が起きないように、カプラーも配線に触らない位置に変えておきました。
近年バイクの電子化が進みセンサー類を取り付け、コンピューターでエンジン性能の最適化を図っています、
今回のように部品が完全に壊れていればコンピューター(ECU)が故障と判断でき、警告灯を点灯させますが、
難しいのはコンピューターが「壊れているか、壊れていないか」の判断ができないときです。
抵抗値がほんの少しだけ基準から外れている、モーターが基準の位置まで動かないなど、 ECUからの信号が届いているが、
基準の範囲内から外れている場合などはECUが故障と判断できないので、 エンジンの調子が悪い状態となります。
今回の故障も以前の「アナログ」システムの場合ならば、「ちょっと調子が悪い」くらいで済んでしまったのかなと 思っていたりします。